梅雨入り間近、緑の綺麗なこの季節。関東地方の雨から逃れるように長野県まで車を走らせた。今回の日帰り旅の目的は、いつものとおり「蕎麦」&「温泉」。プラス、ここ数年shinjiが目覚めた「日本の名塔」にも立ち寄ってみることにした。
上信越自動車道・上田菅平ICから上田市内を目指し、まずは蕎麦屋へ(笑)。今回は珍しく土曜日に来れたので、日曜休業の蕎麦屋「刀屋」に行ってみることにした。道路を挟んだ反対側にある駐車場がかなり狭くて客はみんな車庫入れに苦労していた(^_^;) (蕎麦の詳細は「蕎麦図鑑」のページへ)
食後は周辺の古い寺院の塔巡り。上田市内からやや南下し塩田平方面へ。
建立は様式上「室町時代」と推定される三重塔。 三重塔の手前には花が散ってしまったあとの大きな藤の木があった。前山寺は藤の花でも有名。藤が満開の晴れた日に訪れると最高かも。
入山料・¥100
この塔は、「未完成の塔」とか「未完成の完成塔」とか言われる名高いもの。全体をパッと見ただけでは、その不思議な点には全く気づかないが、他の塔を想像して比べてみるとちょっと違っていることに気づく。
普通、「塔」というものには一層にも二層にも三層にも、縁(えん)と勾欄(こうらん→手摺りのこと)がついている。なのに、この塔には一層にはあるけれども二層、三層には無い。「付けるつもりがなかったのか?」とも思うが、縁の板をのせるための四角い貫(ぬき)が横に飛び出ているので、きっと縁をつけるつもりだったのが、何かの理由でやめてしまったと思われる。その他にも各柱の上部壁際に切り込みがあったりと各所にやりかけと思われる所があるので「この塔は未完成の塔だ。」といわれている。しかし、いずれにしても特に不調和感もなく、安定した美しい塔に見えるのが「未完成の完成塔」と言われる所以かも。
前山寺から国道143号に戻り、西へ向かうと国宝の塔が建つ寺がある。
「塔の姿があまりにも美しく思わずふり返るほどである」ということから別名「見返りの塔」といわれている。鎌倉時代末期の正慶2年(1333年)建立。高さは18.56mで純和様式。安楽寺八角三重塔とともに、長野県下で最初に国宝に指定された。 こちらの寺の境内に咲いていた藤の花は満開だった。
入山料・¥100
全体の造りは素朴で情緒的な雰囲気が漂う。よく見ると、初重が特に大きいことに気付く。これがこの塔の最も大きな特色。初重のみ軒をささえる組物が、通常、「三手先」が正規の組み方なのに、それより一手少ない「二手先」という組み方をしているために平面が広くなっている。この手法を用いて建立されているのは奈良県の興福寺三重塔があるだけで極めて珍しい。
縁(えん)と勾欄の細かい組み方は素晴らしいが、この時期に建てられた塔は通常もっと装飾的な彫刻を施すものだったらしく、これでも装飾の無い部類に入るらしい。そのシンプルさが「振り返りたくなる」理由のひとつかも。それにしてもこの塔を見ると、明らかに上述の「前山寺三重塔」は中途半端な気がしてくる(^_^;)
かつて鎌倉時代。この地に城を構えた塩田北条氏は仏教を保護し、幕府が置かれた鎌倉に勝るとも劣らない文化圏を作り上げた。この周辺には国宝の「安楽寺の八角三重塔」(→「上田市Part.2」参照)をはじめ多くの神社仏閣があるところから、長野県上田市の塩田平を中心にした地域は「信州の鎌倉」とも呼ばれている。まだ訪ねていない文化財もあるのでまた折を見て来てみたい。
国道143号を東に向かう途中を北へ入った室賀地区にある「室賀温泉 ささらの湯」に立ち寄り入浴。
優良な泉質、豊かな湯量の天然温泉。源泉かけ流しの湯は「化粧水の湯」と呼ばれ、肌がツルツルになり特に女性に好評。 4年前に訪れた時と同じく地元民ばかりで賑やかだった。でも、洗い場も蛇口がたくさんあるし、内湯も露天も広いし、館内も綺麗なので、の〜んびり過ごせるいい温泉だと思う♪これだけの設備&泉質で¥400(朝風呂は¥200!)は絶対にお得!
温泉ですっかりリラックスしたあとに早めに帰路についたが、上信越道・佐久IC〜松井田妙義IC間が濃霧のため通行止めになっており、仕方なく一般道で地道に帰宅した(^_^;)